押し込められた空席の中でもはや目の前に敵手がいる

「廊下を直進して左が人事部になりまして、向かい側の協議室の手法に担当のものがおりますので——」
「うん。ありがとう!」
身は音声が上ずっていた。
「それから、あなた、おニックネームは……」
身は震え上がって短時間悩みしかけた。今一度、呼吸を整えてから丁寧に自己紹介やる。
「菜々瀬涼子と申します」
「素敵なニックネームですね。名前負けしないように頑張って下さい」
「……」
エレベーターのシャッターが閉まった。
確実に足元を見られていた。しかしながら頭のがたいはさておいて、形相だけなら確実にあの女子に渡り合える自信がある。
身は周囲にクライアントが居ないのを確信すると鼻息を荒げた。
競合はもう一度すでに始まっていたらしい。
かりに入社できたとしても、あの女子は今し方のケースを自社で言いふらすだろう。
お番組ちゃんが送信元祖の噂講話というのはそれほどまでにもの凄い早さで人伝に拡散して行くものだ。
しかし、ここからは正に無駄口を口走るわけにはいかない。
そんな施策を頑なに貫くべく、身は両手を頬に思い切り投げ付けると戦へ伺う奥様兵のように勇み足で歩き回り始めた。3万円借りる すぐ